概要
依頼者は、50代女性。一戸建ての建物を借りて自宅として使用していたところ、貸主(相手方)から、賃貸借契約を更新しないことを理由に、6ヶ月以内に退去を求める内容の書面を渡されたことから、弁護士に対応を相談したケース。
争点
賃貸借契約が満了したことを理由に、自宅の明渡しをする必要があるか否か。
依頼者にとって、納得がいく条件の金銭を貸主に支払ってもらった上で、転居をしました。
一言
賃貸借契約が期間満了したとはいっても、契約が当然に終了になるわけではありません。借家の賃貸借契約と建物所有目的の借地契約は、貸主側に契約を終了させることを正当化する事由がない限り、契約は自動的に更新されます。本件では、当初、貸主側は、借家を自宅として使用したいと主張するばかりで、金銭給付の条件を示すことなく、依頼者に対し立ち退きを求めてきました。私は、貸主の主張は、契約を終了させる正当な事由ではないため、そのまま自宅に居住することができると説明しましたが、依頼者は、私に依頼する前の時点で引っ越し先の物件を見つけてしまったという理由で、引っ越し代プラスアルファの支払さえ受けられれば、立ち退いても良いとの意見でした。私としては、その条件では、依頼者にとってもあまりにももったいないと考えたため、説得をしましたが、依頼者には、早期に新居に入居する必要があるという事情があったため、引っ越し代プラスアルファの条件で交渉をすることとなりました。
最終的には、貸主から100万円の支払を受け、依頼者は納得の上、借家を明け渡しました。
その結果、当初は離婚意思がなかった相手方との間で、依頼者の希望に近い形で無事に離婚をすることができました。