DVの傾向があり、離婚を拒む相手方との間で調停離婚を成立させたケース

概要

依頼者は、3人の子を持つ女性。うち一人の幼児は、相手方(夫)との子。相手方の暴力等を原因として、依頼者は、転居先を相手方に隠したまま、子を連れて別居を開始。ところが、相手方が依頼者の自宅を突き止め、勝手に依頼者の自宅に侵入するなどの事件が発生したため、依頼者がさらに別の自宅へ転居することを強いられた。
相手方は、幼児の親権を強く主張したため、相手方との離婚協議が進まないため、依頼者が、私に依頼し、夫婦関係調整調停(離婚調停)を家庭裁判所に申し立てた。調停中に、相手方は、面会交流調停を申し立てた。


争点

親権及び面会交流について


結論

7、8回にもわたる調停を実施した結果、最終的に、依頼者が子の親権を持つ一方で、標準的な条件よりも相手方に配慮した面会交流の条件で、調停離婚を成立させた。
相手方は、親権については、相手方が持つ条件を絶対に譲歩しないほか、離婚条件についても、自らのDVを否定し、むしろ依頼者の側に原因がある旨の主張を展開していた。
また、調停期間中に実施する面会交流についても、相手方は、標準な条件よりも、かなり依頼者にとって負担が大きい条件を主張して譲らなかった。
相手方にも弁護士が代理人として就いていたが、当初は、弁護士も相手方本人と一緒になって、相手方の主張を声高に主張するばかりで、解決のための譲歩案を示そうとしなかったため相当に難航したものの、最終的に、私が相手方代理人との間で直接電話で何度も直接交渉を行った結果、ようやく合意に達することができた。


一言

相当に難航したケースです。私からみても、相手方の主張内容が理不尽であると感じる一方で、依頼者としては、多少の条件は、相手方に譲歩しても構わないので、どうしても離婚を成立させたいという背景がありました。
私は、どうしても離婚を認めようとしない事情として、子に対する強い気持ちがあったためであると判断しました。相手方は、子にできるだけ多くの機会及び多くの時間接していたいという気持ちが強いようでした。その場合に考えられるのは、面会交流の条件をある程度相手方に譲歩した上で、親権については依頼者が持つということです。そこで、私は、相手方代理人の弁護士に対し、親権を主張するのではなく、合意可能な面会交流の条件を伝えるよう何度も電話で交渉をしました。
当初は、相手方代理人は、相手方本人と同じように原理原則論に終始していたのですが、調停の見通し等を踏まえて、最終的に、私との間で具体的な条件について何度も協議し、双方が納得する形で調停を成立させることができました。
それでも、相手方代理人が別の代理人であれば、もう少し早くお互いが納得する形で合意することができたケースであったように思います。

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