連れ去られた子を取り戻し相手方と協議離婚したケース

概要

依頼者は、20代の女性、1歳の子を持つ。依頼者と子のほか、依頼者の父と夫(相手方)で、依頼者の父名義の自宅で同居をしていたが、相手方と依頼者の父との折り合いが悪くなったため、相手方が自身の実家に戻る形で別居が開始された。
その後、依頼者と相手方との間で断続的に離婚協議をしていた中で実施した相手方と子との面会交流において、面会交流が終わっても、相手方が、子を引き渡さず連れ去ってしまった。
依頼者は、弁護士に対し、早急に子を取り戻すことと、相手方との離婚交渉を依頼した。
私は、即日、家庭裁判所に対し、監護者の指定を求める審判、子の引き渡しを求める審判、審判前の保全処分を申立て、子を取り戻した後で、相手方に対し離婚調停を申し入れることで依頼者と合意した。


争点

迅速に子の引渡を求める方法、離婚意思がない相手方との離婚協議


結論

家庭裁判所は、第一回審判当日に相手方に対し、審判の決定を受けるまでもなく、速やかに子を依頼者へ引き渡すことを促した結果、その翌日には無事に子を取り戻すことができました。
また、私は、相手方に対し離婚調停を申し立てたものの、相手方には離婚意思がないことが審判等の受け答えで明白であったため、離婚調停の期日に先立って、私がファミリーレストランなどで相手方と直接会い、協議をすることで、相手方から意向や希望を聴取しました。その結果、相手方の真意は、可能であれば復縁したいとのことであり、それが無理であれば、面会交流だけは充実させたいということにあることがわかりました。私は、依頼者が、復縁する可能性が全くないからこそ私を代理人として選任したことを相手方に対し丁寧に説明し、相手方の考え方にも耳を傾け、相手方の希望についてもできるだけ叶えられるような形にしたいと伝えました。最終的には、相手方も私のことを信頼し、依頼者の希望と相手方の希望を踏まえた離婚条項案を私が作成し、相手方に確認してもらった上で、調停の場において、この条件を調停条項として成立させました。


一言

1 子の引渡請求
とにもかくにも迅速な対応が必要です。子が連れ去られてしまった状態が固定化しないよう、また、連れ去りの状況が違法であることを迅速且つ正確に立証する必要があります。
2 弁護士が就いていない相手方との離婚協議
私は、離婚意思が明確ではない相手方本人と直接協議をすることができる機会があるのであれば、調停を待たずに、相手方本人に直接接触するようにしています。相手方と直接することで、相手方が何を気にしていて、また、相手方が最も大事にしていることが何であるかを、私も理解しようとしています。
その結果、当初は離婚意思がなかった相手方との間で、依頼者の希望に近い形で無事に離婚をすることができました。

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