概要
依頼者は、会社(相手方)の取締役を務めていた。依頼者と相手方の代表取締役(相手方の大株主)との関係が徐々に悪化した結果、相手方の代表取締役は、依頼者に対し取締役を辞任するよう求めたものの、依頼者がこれに応じなかったことから、相手方の代表取締役が臨時株主総会を開催して依頼者を取締役から解任した。
依頼者の取締役としての残任期は、解任決議時点で、7年存在した。取締役解任決議自体は有効であるものの、解任には正当事由が存在しないため、依頼者は、弁護士に依頼して、相手方に対し、残任期分の報酬相当の損害賠償請求をしたケース。
争点
取締役解任には正当事由が存在するか。
結論
会社法339条2項では、株式会社は、株主総会決議によって何時にても取締役を解任することが許される一方で、任期満了前にその取締役を解任する場合には、解任に正当事由がない限り、取締役に対し解任により生じた損害を賠償しなければならないと定められている。
相手方は、依頼者の解任理由として、依頼者には責任感がないこと等を理由として挙げたが、これは主観的抽象的内容であったことから、判例の基準に照らして、正当な理由とは認められないと判断された結果、相応な期間に相当する役員報酬相当の損害賠償請求が認められた。